アイツは私の初彼氏
恋より好きなもの




「葛原先輩!これ、読んで下さいね!」

 手渡されたのは、可愛いハート折りされた手紙。

彼女はそれを手渡した途端、友達と騒ぎながらその場から走り去っていった。



「何お前、また手紙もらったのか」

靴を履き替えながら、幼なじみの克幸がため息をつく。

「はん、羨ましーんだろ?」

手紙をヒラヒラ目の前で振ってみせる。


「……別に」

けれど克幸は興味なさげにそう言うと、スニーカーを下駄箱に放り込んだ。

「つっまんねー奴!」

「今更だろ?大体、女が女からモテて何が嬉しいんだ」

克幸は私と並んで、少し上からの目線で見下ろすと鼻で笑った。



そう、私は女だ。



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