CHANCE 2 (後編) =Turbulence=
俺は、意識を集中してジーッとハラボジを見ていた。
すると、またあの嫌な痛みが俺の頭の中を暴れまわっている。
アボジから教わった呼吸法をやりながら、体の力を抜いていくと、痛みが少しずつ和らいでいくのがわかる。
そして、ハラボジの上にビジョンが少しずつ形として現れ出した。
「ハラボジの右肩の上には…、仕事場の《占いの舘》に置いてある、青磁の花瓶を落として割れるのが見えます。
左肩の上には……、え~っと…、ボヤけてはっきり見えないんですが、なんか黄色い物を握りしめて、泣いているのが見えたり消えたり、ちゃんと安定していないビジョンが…。」
『そうか、そうか。
右肩の上に見えたのは、昨日ワシが誤って花瓶を割ってしまったのをみたんじゃろう。
チャンスは相手の右肩の上に過去が、左肩の上には未来が見えておるのじや。
明日になれば、もっとはっきりして見えるはずじゃ。』
「そうですか!
でも、何でハラボジは泣いていたんでしょうね!?」
『それは、その時になってみれば分かる事じゃ。
でも、皆20才の誕生日前に、微かにビジョンが見えるか見えないかくらいなのに、チャンスの場合は過去ははっきり見えておるようじゃの。
今晩深夜には、凄い事になると思うよ!』
「地下室には、私一人だけで入るのですか!?」
『そりゃそうよ!
まぁ、途中でワシもヒョンジュ(俺のアボジ)も、補佐をするために降りて行くけどな!
それから、しつこい様だけど、ワシが今まで書き記しておいたものは、いずれお前のアボジに渡すが、お前も自分自身の事を克明に書いていきなさい。
特に、覚醒した時の事は詳しく記す事を忘れるなよ。
子々孫々に伝えて行かなければならんからの!
御先祖様も、ずっとそうして来たんじゃ。
だから、古い記録も伝える人の文字で書き直され、今でも読めるんだからの。』
「分かりました。
それでは、覚醒した後に使い道や、私自身のやるべき事について相談致します。」
『そうじゃの。』
「それから、ハラボジに謝らなければいけない事が有ります。
今まで、インチキくさい占い師だと思っていました。
すみませんでした。」
『ハハハ!インチキくさい占い師か!
どうせ信じて無いと思っとったわ!
でも、今は信じとるじゃろ。
それで良いわ!』