天空のエトランゼ〜雷鳴轟く時〜
自然の崖と加工された石を組み合わせ、強固に作られた防御壁は、人々の暮らしを守る為に、楕円形に町を囲んでいた。

その防御壁を、まるで階段のように上っている者がいた。

ティアナ・アートウッドである。

神の祠。

と言われる神殿がある町。

噂だけが周りに伝わっていたが、場所はわからなかった。

ティアナは、アンデス山脈を端から端まで歩いて、その町を探していた。

数ヶ月たって、やっとこの町を発見したのだ。

その間に、訪れた町は20を越え、倒した魔物の数は三桁を越えていた。

それ故に、ティアナの知らないところで、名声はアンデス山脈中に広がっていた。

年端もいかぬ少女が、驚くべき力を持っていると。

そして、このアンデス山脈にはある伝説があった。

ここに住む人々を救う救世主が、海を越えてやってくる。

しかし、その伝説が語られて数百年。

略奪者は来たが、救世主は来なかった。

外から来た人間をも信じられなくなった人々は、他の大陸との関係を切った。

あの十字軍の駐屯の申し出も断っていた。

この世界…ブルーワールドとは表裏一体である実世界に存在したアンデス文明は、スペイン人によって滅ぼされていたが、ブルーワールドでは滅んではいなかった。

過酷な状況であっても…。


外国の進出を拒み続けた結果、アンデス文明は、明らかに他の地域に比べて、文明は進んではいなかった。

魔力で動く機械もなく、何百年と変わらぬ自然。

妖精が風に舞い、魔物達が闊歩していても、それはそれであると…納得しそうになっていたが、そんな訳にもいかなかった。

人々は十字軍を拒んだが、魔物達は拒めなかった。

新たに魔王となったライ率いる軍隊である…騎士団。

火の騎士団。水の騎士団。

そして、魔王直属である…空の騎士団。

強固な防御壁で囲まれた町を嘲笑うように、空に無数の魔物が飛び回っていた。

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