複雑家庭〜私は今日も、幸せです〜【完】
「優香ー?」



静かになった教室に、廊下から声が響く。

俺は匠とは違う声に“ん?”と思い、廊下に出た。

優香は俺に駆け寄って来て「誰?」と言う。



「おー、優太か!」



しかし、俺もわからない。

ワイルドな、サングラスまで掛けたオシャレでカッコいいおじさんだ。



「どちら様でしょうか?」



教室から出て来た樹が問い掛けると、「河原大希ーカワハラタイキー、祖父です」と言う。



「いや…こんな若いお祖父ちゃんは知りませんけど…」



優香が首を傾げる。

しかし、“祖父”は「会ったのが久しぶりだから、わからんのだろ」と言う。
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