複雑家庭〜私は今日も、幸せです〜【完】
優香は話終えると、俺の手を両手で握りながら振り返った。

涙をそのままに、鼻水を啜りながら、拍手をしてる会場に居る全員の人を見渡した。



「ありがとうございました」



司会者さんの声を聞き、俺が「戻ろう」と言うと、「待って」と言われた。

みんなの視線が、どんどん優香に向けられる。



「私は…亜弥と一つの約束をしてました。“同じ大学に行こう”。目指すは教育学部。体育教師になると語ってた亜弥。亜弥について行く覚悟をしてた私…。でも、間違いを犯しました」



「……優香?」



もしかして、優香は援交してた事を言うかも知れないと、俺は優香の繋ぐ手を引っ張った。
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