Thus, again <短>



“IT企業のやり手若手社長”


なんて、流行りの言葉を並べたような肩書きを貰い、IT雑誌くらいになら載ってしまうほど、

今の僕は、ちょっとした有名人になっていた。



大学在学中に友達と二人で立ち上げた会社が軌道に乗り、この不況下でも業績はうなぎ昇り。

年々社員も増え続けている、上場企業だ。


おかげで、最近では学生の志望する企業の上位に、名を連ねるという名誉も貰うことができた。



この日僕は、春に連なるイベント、先日入社したばかりである、新入社員の歓迎会に顔を出していた。


飲み会は、上から下まで年齢、ポジション関係なく楽しむ、

というのが唯一の同期であり、戦友が決めたルールだった。



まあ、自分は参加はすれど、もちろん周りと一緒になって騒ぐことはしない。

いや、できないと言った方が正しいのかもしれないが。


幼い頃に培われた、他人と関わることに対しての苦手意識は、そう簡単に変わるはずもない。

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