CHIME
四時間目
ふと目を開けると、見た事ない天井である。


病院とかではなく、普通の家のようだ。


体を起こそうとすると、泉が声をかけて来た。


「目が覚めたか」


相変わらずの無表情である。透は辺りを見回した。


「ここは」


「僕の家だ。君を連れて行くべき場所を僕は知らないからな。仕方ないから連れてきた。」


透は驚いてもう一度見回す。


しかし、何故か暖かみがない。


「泉、お前…親は?」


悪気があった訳ではないが、率直な透の問いに泉は目をそらした。


「両親は仕事で一年中海外だ」


泉はふと息を吐き、立ち上がった。


「シチューがある。温めて来るから待ってろ」


透は奥に消える泉の後ろ姿を、まだ覚め切らない目で見つめた。


しばらくして湯気のたったシチューが運ばれて来る。


透は一度躊躇したが、すぐに口に運び始めた。
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