卒 業
どうして早く言ってくれなかったの。
何で早く気付いてくれなかったの。
私はもう……
「貴方のものになれないのに……っ」
そう。私はもう結婚していた。
短大を出て、すぐに式をあげた。
私が、苦しい時、いつも傍にいてくれた、優しいヒト。
こんな私を包んでくれた、ヒト。
祐也を好きだった時から、私をずっと見守ってくれた……
大切な人。
「馬鹿……馬鹿ぁっ!」
私はその場に泣き崩れた。
欲しかった言葉とヒトが、目の前にいるのに……手に入らない。