最初最後彼氏!
久しぶりに入る雄の部屋。

・・・あ!この写真って確か、前に無理矢理お願いして一緒に撮ったやつだ。

まだ持っててくれたんだ・・・。

部屋を見渡すといくつかあたし達の思い出の品が置いてあった。

もう全部捨てちゃったのかと思ってたから嬉しいな・・・。


ガチャ

「なにしてんの?立ってないで座れば?」


カップを置いてあたしの方に歩み寄ってくる。


「あっ・・・。ばれた?」

「まだ持っててくれたんだね。」

「当たり前じゃん。お前のこと忘れるなんて無理だったし。・・・こいよ。」


あたしの手を引き、ベットに座らせる。

あたしの隣に雄も座り、ココアの入ったカップをあたしに渡してくれる。

雄は・・・、やっぱりコーヒー。

座ってから少しの沈黙。

その沈黙を破ったのは雄だった。


「正直、ずっと後悔してたんだ。なんでお前を手放したんだろうって。ただの嫉妬で別れなくても良かったのにってな。バカみたいだろ?(笑)」


雄が後悔・・・?


「俺と別れてから、お前の辛そうな表情を俺はずっと見てた。あんな顔させたのは自分なのに今さら『やり直そう』なんて言えないって思ったから、今日お前が来たときは本当に驚いた。それと同時に・・・、すげー嬉しかった。それで、今、奈美がここにいるなんてまだ信じらんねー・・・。」

「ちゃんとここにいるよ。」


あたしは雄の手を握る。


「ね?」


雄も手を握りかえして、


「そうだな。」


と微笑んだ。


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