最初最後彼氏！

放課後。雄と一緒に帰ろうとして、準備をしていた。

「奈美、先に校門行ってて？すぐ行くから。」

といって、どこかに去っていった雄。

たまにはこんな日もあるよね。

雄がいないので、ゆっくり下駄箱に向かって歩いていく。

下駄箱で上靴を脱いでローファーを取り出す。

カサッ、

・・・ん？何の音？

ふと靴の中を見てみる。

靴の中には黒い紙が入っていて、白い字で「花恵の婚約者に手を出すな。」と書いてあった。

多分、あたしが雄と付き合っているから誰かが嫌がらせしてるんだろうな・・・。

その紙を制服のポケットに適当にしまって、校門で雄がくるのを待った。

あたしが校門にきてから１０分くらいたって、雄が走ってあたしのところまできた。

「奈美、遅くなってゴメン。ちょっと呼び出しくらってさ・・・。」

「あぁー、うん。全然大丈夫だよ！気にしないで？さっ！帰ろっか！それともどっか寄ってく？」

雄はばつの悪そうな表情で

「ごめん！今日は遊べねぇんだ・・・。家まではちゃんと送ってっから。」

雄も忙しいもんね・・・。仕方ないか・・・。

「そっか。なんか忙しいの？あんまり無理しないでね？」

すると雄は優しい笑顔であたしの頭に手をのせながら、

「大丈夫。どんなに疲れてたって、奈美の声聞くだけで元気出るし。」

また胸キュンなセリフを簡単に言う・・・。

ドキドキさせられっぱなしのこっちの身にもなってよ！

・・・そう言えば明日って・・・。

「雄・・・、明日だよね？そのぉ・・・、」

「親父と花恵さんに会うのだろ？」

「うん・・・。」

雄は少し手の握る力を強めた。

「大丈夫。安心しろ。俺は何があっても奈美のそばにいる。俺は、奈美と一生一緒にいたいから。」

雄はいつもあたしが安心で出来る言葉をくれるんだ。

「うん。明日、雄のことずっと信じてるから。」

まわりに人がいない公園のそばで、誓うように優しいキスをした。