神の使者
「学校でたくさんの事を学んで、俺みたいなカッコいい奴と付き合えよ」
「バカ…」
知佳は泣いていたが、それでも笑顔で頷いた。
達也は知佳の頭を撫でてから父さんに向く。
「父さん」
「何だ」
「仕事頑張って」
「それだけか?」
「うん」
「うんって、お前…」
ガックリとうなだれる父さんに達也は笑った。
「嘘だよ。父さん、母さんと知佳を頼むね」
「ああ」
二人はガッチリと握手する。俺達をずっと守ってくれていた父さんの大きな手だ。
「じゃあ、俺行くよ」
そして達也はみんなに見守られながら消えた。
「ありがとう、達也」
父さんの声を聞き、達也は家を出た。
伝えたい事は伝えた。父さんに俺の願いを託した。
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