赤い狼 壱





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「着いたぞー。稚春ー、ドア開けて。」



「はぁん?何でよ。自分で開けなさいよ。」




さして疲れた様子もなく普通に喋る連にガン飛ばす。


何故私がしなくちゃいけないのか。理由を言え。理由を。




「だって稚春抱えてんだもん。手ぇ塞がって無理。」



「じゃあ私を降ろせば「それは駄目。」」




最後まで喋らせろ。




ムカつきながら無言で抗議してみる。私は決して諦めないぞ。




「………。」



「………。」



「……ね「ヤダ。」」



「まだ何も言ってないじゃん。」



「嫌なものは嫌。」




結局、私が折れることになるんだ。




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