それでも私は生きている
史上最悪の悪魔がくる4時間前―…
宮城県気仙沼市はいつもとなんら変わらない姿だった。
私は数年ぶりに会う親友と数年前と変わらない他愛ない話をしていた。
結婚している親友、伊藤めぐみは三歳と一歳の子供がいた。
子供達とお昼ご飯を食べながらいつもとなんら変わらない時間を過ごしていた。
「あゆは結婚しないの?」
ふと、めぐみが言った"結婚"と言う言葉に苦笑いが漏れた。
自分自身に結婚願望がないわけじゃないけれど、急いでする必要もないって考えていたからだ。
「家族って良いもんだよ。」
めぐみは12年前に父親を亡くしていて、母親も生まれてすぐに家を出てしまっている。
結婚して家族を持てためぐみの言葉は私の心の中に大きく響いていた。