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チュンとの出会い
小6の夏。

私、神戸綾はいつもの様に友達の原田風李と帰ろうとしていた。
『ん・・・?あれ、スズメ?』
『・・・?あ。スズメだね』

皆が集まってくる。

「え?スズメ?」
「どこどこ?」
「あ!あそこ!」

私が指で突付く。

『チュン』

まだ、小さいから子供・・・?
多分、巣から落ちてどうしようもないんだと思う。

『綾、どうすんの?』
『巣・・・届かない・・・』
『あ。綾、育ててあげれば?』
『ぇ、大丈夫かな・・・。スズメだよ?』

野生の鳥だからな・・・。
インコとかだったら普通に売ってるから大丈夫かもしれないけど・・・。
仕方がないから、帽子にいれて家にもって帰った。

『ねぇ、お母さん!育ててもいいでしょ?』
「うーん。スズメねぇ・・・。お母さんはいいけどお父さんがねぇ・・・。」
『お父さんが帰ってきたら話してみる!』

お父さんが帰ってきて話してみた。

『ねぇ、いいでしょ?』
「・・・。しっかり、責任もって育てれる?」
『うん!』
「それじゃぁ・・・。よし。」
『やったぁ!お前の名前は・・・チュン・・・!ぅん。チュンだ!』

今日から、チュンとの生活が始まる。
私は何かを育てるのは初めてだった。
期待と不安でいっぱいだった。

『チュンにご飯上げててね~!』
「分かったから早く学校に行きなさい!」
『いってきまーす!』

チュンのことを風李に話す。

『よかったじゃん!』
『だからよ。よかった』
『飛ばない?』
『うん。まだ。』
『そっかぁ。まだ子供だもんね』
『うん。大人になったら放さなきゃいけないのかな・・・』
『うーん。まぁ、そんな後のことはまだいいんじゃない?』
『うん・・・』

帰ったらかご、買わなきゃ・・・。

『風李~!早く早く!帰るよ!』
『ゴメン、ゴメン』
『よし!走るぞ~!』
『綾~!まってー!』

私は、チュンのことで頭がいっぱいだった。
後ろを振り返ると遠くのほうに風李が。

『綾!早すぎ・・・。』
『ごめん・・・。』

早く、チュンに会いたい。ただそれだけだ。

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