あたしの愛、幾らで買いますか?
「ねぇ、ねぇ。
 君、なにしてんのぉ~?」


階段に座るあたしに

見知らぬオヤジが声をかけてきた。

どうやら、酒を飲んでいるようだった。

あたしは、

そんなヤツに答える気はなかった。


「ねぇ、
 おじさん質問してるんだけど~?」


執拗に声をかけるオヤジ。

あたしが、ひたすら無視していたら

突然、隣に腰を下ろし

肩を抱いてきた。


…気持ち悪い。

触らないで…。

オヤジの臭いニオイ…。


もう、あたしは綺麗じゃないけれど

だけど、

こんな男に気安く触られたくはなかった。

あたしは、

朔羅の温もりを失いたくはなかった。


あたしは目を見開き

オヤジを突き放した。


「気安く触ってんじゃねーよ」


そう叫び、その場を後にした。



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