あたしの愛、幾らで買いますか?
彼は今にも割れてしまいそうな

硝子細工に触れるように、

そっとあたしに触れる。

首筋に唇を這わせたり、

温かい指先で、あたしの唇を触れたり…

朔羅の温もりがいちいち嬉しいのだ。


「…あゆ」


吐息と一緒に漏れる、あたしの名前。

好きな人に呼ばれる名前が

こんなに温かいなんて

今、初めて知った。


あたしは飽きもせずに彼の名前を呼ぶ。

一人にしないと言ってくれたのに、

まだ全てを信じられない自分が嫌になる。


朔羅に抱かれていると、

現実世界に居るとは思えない。

ふわふわと優しい気持ちになる。

いつもは刺々しい気持ちしか

持ち合わせていないのに…

なんだかとても不思議。




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