これは、事実
「校舎は危険だから、ここで待機してなさい」
「でも友達が…」
「お前が死んだらどうする」
「……!」
安藤ちゃんは私を真っ直ぐ見つめて言った。
「お前が今むやみに動いて死んでしまったら…その友達にも、家族にも、大切な人にも会えなくなるんだぞ」
「……でも…」
「わからないのか!?その大切な人全員が哀しい思いをするんだぞ!!」
「……!」
「とにかく今は私たち教師の指示に従いなさい。大切な人の為に、生きろ」
「……!!」
「全員外に出ろ!クラスごとに並びなさい!」
安藤ちゃんはそう全体に指示した。そして私の背中を叩いて避難を促す。
「………」
大切な人の為に生きる……。
家族や先輩、特にまだ校舎に残っているであろう和子が心配だったけど、今は自分が生きることを優先しようと思った。
そうして私は体育館を出た。


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