これは、事実
家族と一緒に帰宅した家は、体育館同様メチャクチャだった。
棚やテレビが倒れて、食器は床にたたき付けられて割れていた。
あと、真っ暗。
「電気つかない…」
停電だった。
不幸中の幸いで、水は止まってはいなかった。火も使えた。
夜。余震が続く真っ暗闇の中、私たちはラジオの情報に縋り付いた。
ラジオで聞いた情報によると、私のところはまだ被害が少ないほうだったようだ。
今日の地震…。
付けられたその名は。

……東日本大地震。

マグニチュードは9。
日本で観測された地震では最大規模だそうだ。
沿岸のほうでは津波が街を襲った。建物が押し流され、帰る家が無くなった人も少なくない。
「……テレビつかないし、電話も繋がらないし、周りの状況が早く知りたいよ……」
「ケータイも迂闊に充電減らしてられないし…」
「頼れるのはラジオだけ、か……」
「いつ電話復旧するかなぁ…」
そんな会話を何回も家族の間でした。
和子とも連絡とれないから心配だし……何より謝りたいし、仲直りしたいよ……。
< 9 / 27 >

この作品をシェア

pagetop