桜に導かれし魂
プロローグ

桜に集う

俺は小湊 右京。
今日から高校生になる。
中3の夏まではサッカーをしていたが
試合中のアクシデントで
左膝の靭帯を断裂してしまい
中学の間での復帰は
諦めざるをえなかった。
全国大会にも出場し
けっこう期待されていたみたいだけど
この怪我を理由に俺はあっさりと
サッカーをやめてしまった。
サッカーが嫌になったのわけではなけれど
続けていく理由が
わからなくなってしまった。
これから俺が通うことになる高校にも
サッカー部はあるけど
もちろんはいるつもりも予定もない。


まだ少し痛む左足を
気にしながら家をでようとしたとき
妹のこまちによびとめられた。
「お兄ちゃん!お弁当わすれてるよ~」
「…あぁ。ありがとう」
「他にもうわすれものない?」
「うん。じゃあいってきます」
「いってらっしゃーい」

外に出るとぶわっと吹いた風が髪をゆらした。

ぽかぽかとあたたかい日差しに包まれて
家の門をくぐるとやっぱりか。
と俺は肩をおとした。
「もう!右京おっそーい!!
今日入学式なんだよ!はやくいこっ!」
今までに何度この光景をみてきただろう。
遅れそうな時間に出てくる俺を
待っているのは隣いに住む幼馴染
「………楓」
「いっつも右京は遅いのよ!
ほら、はやく!はい!」
いっつも待ってなくていいのに。



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