君が知らなければいけない事実


「……あ、あの肉まんも一つください」


ボサボサの髪のまま
少しぼけっとした僕を
店員は少しいぶかしむ。


が気にしない。


僕はそれよりも……いけない
忘れるところだったと……


肉まんを一つ
注文することのほうが
大事だったからだ。


なんとなく、食べたい気分。

コンビニを出てすぐに
袋から肉まんを漁り片手に持つ。

どこで食べようか迷い
いい場所を見つけた。

小さな公園の
幅の狭いベンチ。

小さな子供が遊ぶための
小さな遊具。


僕は、この場には少し
場違いな人間だ。

だが少しの時間、肉まんを
食べさせてくれ。


自分が落ち着くために。



少し
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