◇もう一度出逢うために◇




――――――…ガラガラ


「お兄ちゃん!!!」


あたしは 榎本って書いてある
病室のドアを開けた。



「う……そっ……。」



それは 信じられない
光景だった―…。



お兄ちゃんが静かに
眠っていた。



「うそ!! 嘘だ!!お兄ちゃん!!」


あたしは お兄ちゃんの傍へ
駆け寄った。


「お兄ちゃん!! 目開けてよ!!」


どんなに 揺すっても
ぴくりともしない。


「猛君は 小さな男の子を
助けるために 自分が犠牲に
なったんだよ――…??」



お兄ちゃん――…

優しすぎる。 自分の命を
犠牲にしてまで助けるなんて

格好よすぎるよ……。



あんなに 心も体も温かかった お兄ちゃんが


今は冷たくなっていた――…。



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