【完】SHOOT~あなただけのマネージャー~

●百聞は一見にしかず

【楓side】




「おはようございます......」



事務所の周りに居た記者さんも、今は居ない。


私も玲王もメンバーも、普通通りに入り口から入れるようになった。


でも、居ないと分かっていても警戒してしまう。



部屋に入ると、玲王が居た。


私に気づいたのか、席から立ち上がった。



「なぁ、楓......」



「あっ! 今日、三毛猫ちゃんに会ったんだよ~」


急に陽斗たちに話題を振る。


......あの日以来、玲王との会話は無い。


玲王を見ると、ドキドキして顔が真っ赤にはならなくて、ドクッて苦しい痛みが体中を走るんだよね。


だから、あからさまに避けちゃう......。



陽斗とその話題について話しているときに、玲王を一瞬見た。


そこには、いつもの玲王じゃなくて、とても哀しい顔をしていた。



傷......つけた......。



また痛くなる胸。



聞こうと決心したのに、聞くのが怖い。


体が動かない。



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