嫌いなあいつは婚約者



うっすらと目を開ける。


そこには、地に伏して伸びているストーカー男と、私を後ろから抱きしめている腕が目に入った。







「っの、馬鹿!!」


ごつんと頭に軽いゲンコツが落ちる。



「痛っ!!」


頭を押さえて後ろを向くと、少しご立腹気味の松田がいた。






「無謀すぎるだろ!!」

「だ、だって…「だってじゃねえ!!」





すごい剣幕でまくし立てる松田。



こってり怒られてふて腐れてると、ポンポンッと頭に振動が送られて。







私は心地好いそのリズムと暖かさに目を閉じた。










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