嫌いなあいつは婚約者
「どうしたんですか?」
連れてかれたのは、校舎の端っこにあるあまり使われない階段。
水野さんは一息つくと、私をまっすぐ見つめて言った。
「…無理してる。」
「っ!?無理なんか…!」
してない。と言おうとしたのに、変わりに出てきたのは涙。
それは後から後からとめどなく溢れてきた。
「ご、ごめんなさい!」
慌ててその涙を腕で拭う。
泣き顔を見られたくなくて下を向いていると、ふわっといい匂いがしたと思ったら、私は温もりに包まれていた。
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