嫌いなあいつは婚約者


「瑠璃。」


意味もなく、無意識に呟く。


そして、呟いたと気付いたと同時に、目の前の瑠璃はあからさまに挙動不審だった。

………顔を真っ赤にして。





それを見てつい俺の中の加虐心が疼く。

少しからかった後、本題に戻って名前呼びを急かしてみた。




壁に瑠璃を挟み、逃げられないようにしようと近寄る。

けれど、それを察知してか俺の脇をするりと通って逃げると、俺の方を向いて顔を赤く染めて、言った。





「っ由紀!」











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