†りぼん†
†私の王子様†
†春宮 柚依† 
 


幼馴染のなっちゃん(姫島 夏樹:男)は、私の3つ年上だ。
毎日いっしょに帰った。兄妹みたいに仲良しだった。
それなのに、ある日突然なっちゃんは、帰らぬ人となった・・・。

私はいっぱい泣いた。1日に、24時間くらい泣いた。


今日も、いつもと変わらず泣いていた。変わったというなら、探し物をしていたことくらいだ。なっちゃんがくれた一本のりぼんを探していた。
ふと、もらったことをおもいだしたのだ。

「柚依ちゃん。」
「なぁに?なっちゃん。」
「このりぼんあげるよ。」

なっちゃんは、白に白のハートの刺しゅうのはいった、オシャレで可愛らしい太めのりぼんをくれた。

「ありがとう!でも、柚依ちゃん、お誕生日まだだよ?」
「これは、誕生日プレゼントとは、別なんだぞ!」
「じゃあ、何でくれたの?」

なっちゃんは、なぜか顔が赤くなり、黙り込んでしまった。
何でかしつこく聞くと、

「将来・・・け、結婚して・・、えっと・・・ほしいから・・・。」

ゆでダコみたいに真っ赤にしゃべってるなっちゃんの言葉を聞いて、私自身もきっと、ゆでダコみたいに、真っ赤だったと思う。

「ほんとに?」

私は、聞き間違えたのだと自分の耳を疑って、なっちゃんに本当か確認した。
でも、耳を疑う必要はなかったみたいだ。

「ほんとだよ。す、好きだから婚約・・・うわぁぁッッ!!」

なっちゃんが、「好き」といってくれたことがあまりにもうれしくて、その言葉を聞いただけで、私は、なっちゃんに飛びついた。

・・・こんなにもなっちゃんのことが好きだったのに、神様は、私からなっちゃんを奪ったんだ。

見つけた・・・。私のたった一人の王子様からもらった、素敵な素敵な、誓いのりぼん。

そういえば、なっちゃんの死因、話してなかったね。
親に殺されたの・・・。無理心中ってやつ?

私は、そんな辛い事件があって、人にも、神様にも、心をひらかなくなった。
なにも信じられなくなった。なっちゃんにもらった、このりぼんしか、信じられない。

だから、私は、心を、このりぼんで縛り上げて封印した。

 そう。これでいい・・・。これでいいの・・・。




















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