ハルオレ☆ -後篇-
第1章 蘭藤荘に忍ぶ野望

part1 ~序章~



【北洋高校理事長室】








……トゥルルルル。









部屋の中で電話の音が鳴り響いていた。









3コールほど電話の音が鳴り、やがて受話器が持ち上げられる。









「はい。理事長秘書長谷川です。」









電話の受話器を取った女性の黒髪がフワッと揺れる。









『あら、芭悠里(ハユリ)。お久しぶりね。』








電話口からは気の強そうな口調の女性の声が聞こえた。









「…まぁ、社長。ご無沙汰しております。」









芭悠里と呼ばれた女性は、受話器を持ちながら会釈する。









『どう?最近は会社でも見かけないけど、元気でやってるの?』








「はい。変わらず元気ですわ。」








『そう。ならいいわぁ〜。ふふっ。でもたまには社長室に顔出しなさいね。』








「…はい。申し訳ありません。近いうちお伺いさせていただきます。」








『待ってるわよ。………あ、そうそう慎太郎いる?』








「はい。理事長ですね。少々お待ちいただけますか?」








芭悠里はそう言うと受話器を耳から離し、保留音のボタンを押す。








そして芭悠里はイスに座りながらクルッと振り返り、彼女の真後ろのデスクのイスに座りながら、優雅にコーヒーの飲んでいる背の高いメガネをかけている男に向かい口を開いた。









「恐れ入ります。藤岡理事長。美月社長からお電話ですが…。」









芭悠里の言葉を聞き、藤岡理事長と呼ばれた男はコーヒーカップを机に置き、イスから重い腰を上げた。

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