月物語 ~黒き者たちの宴~
4章 対牛弾琴 ~悪夢の始まり篇~

―1―




子州北部で雨が降ったらしい。



礼は胸を撫で下ろした。



自分は天に選ばれた。



自分の行いはすべて正しいはずだ。



いつもそう思っていた。



しかし、ずっと不安だった。



雨が降らなければ、自分の立場はどうなるのだろうか、と。



雉雀のように、愚かであると引きずり降ろされるのかもしれない。



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