月物語 ~黒き者たちの宴~



「主上。
夜分にすみません。」



彩夏の声だった。



「入ってよいぞ。」



彩夏が申し訳なさそうに入って来た。



―どうしたんだろう?



「………。
あっ、えっと、…」



こういうときの彩夏はわかりやすい。



「心配してくれてありがとう。」



礼は、彩夏が先に口を開く前に言った。



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