月物語 ~黒き者たちの宴~



暫く一人の時間を与えられたので、部屋で寛いだ。



―王様、か。



そうはいっても足は泥だらけで、服も汚れている。



こちらに来てどれくらいの時間が経ったのか。



―記憶が途切れたのが夕方。
目覚めたのは昼間。
まだ誰も何も気づいていないでしょうね。
あぁ、先生から頼まれごとしてたんだわ。
きっと、私がいなくて困ったでしょうね。



「うふふ。」



誰もいない部屋で、礼の笑い声が妙に響いた。



トントントン。



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