月物語 ~黒き者たちの宴~
毎日黄国の大樹を見るのは、それが美しいからだけではない。
それは、礼にとって戒めでもあった。
赤国の木を見た晩、胸が苦しくて仕方がなかった。
貧しければ枯れ木となり、やがて--
それ以上考えるのはやめた。
自分はそんな国の王になるのかと久々の不安を感じた。
だがそれ以上に、赤国の木が心配だった。
生の輝きを、赤国の木に取り戻そうと誓った。
だが、不思議だった。
涙といい、礼にとって自分より相手を、しかも木を心配するこの気持ちが生まれたことが。