月物語 ~黒き者たちの宴~
「いわゆる暴君だったのね。
まったく、なんて愚かな。
なぜ朱雀はそんな人を選んだのかしら。」
この発言には、さすがの花梨もぎょっとした。
―赤国の木を苦しめた奴なんて許せない!
ちなみに、王の名は朱雀にちなんで付けられるという。
礼の名も、朱、雀のどちらかを使った名に改名される。
現在、前王の行いと飢饉、王の長期不在が追い討ちとなり、赤国は窮地に立たされているという。
―私なら、もっとよい国を造られる。
礼は王として権力を奮い、民を助ける自分を想像した。
そして赤国の木が、青々と生い茂る様を。