おもちゃのユビワ
トゥルルルル…
呼び出し音が鳴る。



(やっぱドキドキする~)



緊張しながら電話したが、拓巳はなかなか出てこない。



(やっぱ忙しいんだ…)



あきらめて切ろうとすると、電話がつながった。



「もしもーし。」



拓巳だ。



「拓兄ちゃん!」



「お?ナオか。」



「うん!今忙しかったよね…?」



「いや、大丈夫だよ。ただ、手が汚れてたから洗ってたんだ。」



「作品作り?」



「ああ、絵を描いてんだ。」



「へー、見たいなあ。」



「いいよ、今度文化祭に出品するんだ。来いよ。」



「ほんと?」



「ああ、秀も一緒に来ればいい。」



(だよね…)



「分かった。秀二といつ行くか決めて、また連絡するね。あっ、続きがんばってね。」



「ああ。じゃあな。」


電話が切れるとナオは大きくため息をついた。



「1人でなわけないよね…」



拓巳がナオだけを誘うわけがないと思っていながら、ちょっと期待する自分が悲しかった。


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