おもちゃのユビワ
「おばさん、ただいまー。紅茶買ってきたよ。」



「おかえり、ナオちゃん。いつも悪いわね。秀二ったらナオちゃんに買物押し付けたって言うから。」



秀二の母親がナオを玄関で出迎えた。
ナオは秀二の家に入るときも、自分の家に帰るかのように『ただいま』と言って入った。秀二の母親も『おかえり』と迎えるのだった。



「紅茶の店は男一人では入りにくいんだよ。」



「そうよね。ナオちゃんケーキあるの、食べてくでしょ?」



「うんっ」



ナオは自分でスリッパを出してはくと、リビングに入った。



「今日は秀二と一緒じゃなかったのね。」



「友だちのショッピングに付き合ってたんだ。」



「へぇ。…女の子?」


「やだ、おばさんったら。そうだよん。」



リビングに入ると、秀二がソファーでケーキを食べていた。



「よう、買物は終わったのか。」



「うん。」



「ナオちゃん、ケーキどれにする?」



「わーい、えーとね…これっ!」



「やっぱりね、モンブランよね。ナオちゃんと拓巳は好みが一緒だから。」



おばさんはモンブランを皿に取り、ナオに手渡した。



「いただきまーす。」


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