おもちゃのユビワ
「秀二!ナオ!」



二人を呼んだのは拓巳だった。



「おぅ、兄貴。」



ナオは急いで涙を手で拭くと忽ち笑顔になった。



「おめでとう、拓兄ちゃん!」



「ありがとう。」



秀二はハッとして優秀作品を見た。



一番下には、藤村拓巳と描いてある。



拓巳の作品だったのだ。



秀二は目を凝らしてもう一度作品を見た。



絵の女性は小池の姉さんだ。



秀二は慌てて話し出した。



「兄貴が人物画なんて珍しいよな。なんか、モデルを雇って皆で描いたとか?」



「いや…」



「あ、じゃあ想像か。兄貴は想像力たくましいな。俺なんて、さっきもナオに美的感覚0だって言われてよ…」



慌てて話す秀二にナオが止めるように入った。



「これだから秀二は…。拓兄ちゃんの彼女よねえ?じゃなきゃ、この女性、こんな優しい表情出来ないよ。」



ナオは絵から読み取れるその事実を認めざるを得なかった。



< 164 / 200 >

この作品をシェア

pagetop