おもちゃのユビワ
ナオは気づいていなかった。拓巳には迷惑をかけられないと気を遣うが、秀二に対しては全く気を遣う事なく、話を進めていることを。



恋をするとその相手を想うあまり、周りの者にまで気が回らないものだ。



秀二はナオが自分には甘えてくれていると思う反面、ナオの拓巳に対する気遣いに嫉妬を感じていた。



でも、もう秀二は慣れていた。今までだってそうだ。兄貴の女友だちが来ようものなら、その相手を窺いに自分の部屋にやってくるのだ。



秀二にとっては傍迷惑な話だ。自分に会いに来るならともかく…。



「そんなにイヤならいいけど…」



ナオはぼそっと呟くように言うと下を向いた。



「あー、もう分かった分かった。行くよ、行く。」



「ホント?秀二。」



「兄貴に遊びに行ってもいいか、今日電話してみっから。」



「やったー!ありがと秀二!」



ナオは満面の笑みを秀二に見せた。


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