おもちゃのユビワ
次の日、秀二は複雑な思いでいた。ナオを喜ばす事ができる反面、ナオを兄貴に会わす事になるのだ。



秀二は平静を装い、ナオの家のチャイムを鳴らした。



ピンポーン



「はーい」



出てきたのはナオだった。



「おぅ。2日連続歩いて学校だな。」



「ね、ね、拓兄ちゃんに電話した?」



ナオはあいさつもせず、早速拓巳の話を持ち出す。



「ああ、電話した。」



「で?なんて?」



ナオは秀二に答えを急がせた。



「行きながら話すから靴を履け。また遅刻寸前になっぞ。」



「そうだね。行ってきまーす。」



ナオのお母さんの「行ってらっしゃい」の声が近づくのが分かったが、早く結果を聞きたいナオはそれを待たずに玄関を出た。



「いいのか、母ちゃん。」



「いい、いい。で?来てもいいって?」



「ああ、日曜日にでも行くか。」



「やったー!」



ナオの満面の笑み。だが、この笑みを見ることができるのは、拓巳の事で喜んだ時だけだ。秀二は少し切なくなった。



< 30 / 200 >

この作品をシェア

pagetop