おもちゃのユビワ
「あ、兄貴。寝てなかったのか。」



「バイトで今帰ったばっか。」



「ああ、バイト。こんな遅くまでなのか。」



「遅番だよ。コンビニは24時間だろ?夜中もあるけど、一応学校が大事だからな。夕方から10時までやるんだ。週2はな。」



「それ以外は?」



「夕方から8時までだよ。」



「大変だな。」



「まあ、休みもあるし、短時間だからな。自由がきかねーと作品作る時間ないからな。」



「ふーん。」



「で、どうした?なんかあったのか?」



「あ、ああ、いや。」



「そうか。」



拓巳は秀二に何かあったんだろうと思った。昔から秀二は言いたいことをハッキリ言うタイプではない。



こどもの時、母親がよく二人にオモチャやかばんを買ってきた。



決まって色違いのものだったのだが、秀二はほしい色があっても、黙っていて、拓巳が選ばなかった方をいつももらうことになった。



優しい拓巳が『秀二が先に選んでいいよ』と言っても『ううん』と首を振り、『どっちも好きだから、どっちでもいい』と言うのだった。



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