おもちゃのユビワ
秀二は小池と帰ることがしばしばあった。



話す内容は決まって陸上部での事ばかりだったが、この日は違っていた。



「秀二くん、結局明日はどうするつもりなの?」



「いや、何も思いつかなかった。」



「中崎さん来るんだ…」



「来るだろうな。」



「来るかどうか聞いてないの?」



「ああ。でも聞かなくても分かるよ。あいつは来るよ。」



「…へえ。なんでも分かっちゃうんだ…」



小池は小さい声で返事し寂しそうに下を向いた。



「私考えたんだけど、お姉ちゃんはあんまり人前でべたべたするタイプじゃないんだ。だから、お姉ちゃんたちが二人でいたとしても、彼女だって思わないかもなーって。ただの友だちくらいに思ったりしないかな。」



「そうだな、兄貴が女友達多いのは事実だからな。でも兄貴が彼女だって紹介したら、アウトなんだよな。」



「私、協力してもいいよ。」



「…協力って?」



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