トシシタカレシ。
~杏子side~

ん…

ここは…どこ??


あ、幼い頃のアタシだ。

って事は…これは夢なんだ。


場所はよーく見ると、家の近くにある星ヶ丘公園だった。


アタシは小さい時に引っ越して来たから、この街に来たばっかりの時は友達が居なくていつもこの公園で1人で遊んでた。

砂場で遊ぶ同じ位の子と一緒に遊びたかったけど、声がかけずらくて…

だからいつも決まって1人でブランコ。


いつもと同じ様にアタシは1人でブランコに乗ってた。


「ねぇねぇ、一緒に遊ぼーよっ!」

「え?」


あ、この夢…

想像の夢じゃなくて、昔あった事そのままの夢だ…。

この後、アタシは確か…


「名前はなんてゆーの?」

「アタシは…きのした…あんず…」

「あんずちゃんって言うのか~俺は…き…よ…う」


あの時はちゃんと教えてくれたはずなのに、夢の中では男の子の名前だけが聞こえなかった。


その後アタシはその子と1日中遊んだんだっけ…。


「あ、もうそろそろ帰んないと、お母さんが心配しちゃうね。」

「じゃあ、そろそろ帰ろっか!」

「うん!」

「じゃあ、また遊ぶ約束しよう!指切りげんまん!」

「うんっ!」

『指切りげんまん~嘘ついたら針千本の~ますっ!指切った~♪』

『あはははっ!』




あれ?



アタシはふとその男の子に誰かの面影を感じた。

誰だろう…?

この笑顔。

絶対にどこかで…




え…

もしかして…



神…ちゃん…?

そうだ、

絶対に神ちゃんだ…。


アタシはこの夢を見て思い出した。

あの時、1人ぼっちのアタシに声をかけてくれたのは神ちゃんだったんだ。


あの日…指切りげんまんをしたその日から毎日通ったんだけど…

会える事は無かった。


アタシもアタシで、その後友達が出来たから、家で遊んでてなかなかあの星ヶ丘公園に行かなかったせいもあったんだけど…


アタシはずーっと探し続けていた人と思わぬ再会をした。

向こうは忘れてると思うけど。


…この夢を見てアタシはなんかモヤモヤした。

どうすれば良いの…?
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