アクアマリンの秘密【外伝】
「蒼刃…?」

「抱きしめてねぇと…現実味湧かねぇんだ。」

「え…?」

「今まで目まぐるしいくらいのスピードで色んな事があったけど…それでも俺はその全てをちゃんと覚えてるんだ。リアルなもんとしてな。
だけど…お前だけはどっか行っちまいそうで…掴んでも掴んだ気がしねぇ。」

「蒼刃…。」




全てが終わった今、あたしはなるべく心を読まないように魔法をかけ続けてる。
でも…やっぱり完全に『読まない』ようにするのはなかなか難しくて、どうしても少しだけ…悲しさとか不安とかそういうものは伝わって来てしまう。

だから…蒼刃がこうして抱えてるものも、はっきりと見えるわけじゃないけど…感じる。
あたしが勝手に自分の記憶と引き換えに封印の魔法を使ったことで…蒼刃はすごく傷付いてるんだってこと。




「はぁ…情けねぇ…。」



蒼刃のおでこが、あたしの左肩に乗る。
あたしは、あたしを抱きしめる腕を両手で握り返す。



「情けなくなんか…ないよ…。
あたしが…傷付けたんだもん…。」



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