失恋少女とヤンキーと時々お馬鹿



それからのあたしは完璧だったと思う。


「こんにちは」「ご無沙汰してます」も全部完璧だった。



かえる時になって、大翔があたしを呼び止めた。


「陽、お前に会えなくて、淋しがってんぞ。そろそろめんどくさいから会ってやるか、連絡してやってくんねぇか?」


「いいけど……」


「ってことで、頼んだぞ」


そう言って大翔は去っていった。



大翔の言葉があたしの脳内でリピートされる。


たった数日会えなかっただけで、淋しがるとか……



この先、陽の日常からあたしは居なくなるのに……



だめだよ。



陽の隣にあたしはいちゃいけない。



ふとそんなことが頭に浮かんだ。


そしてそれが最高にいい考えだと思った。





――あたしは、陽の隣にいちゃいけない。








いつの間にかかたく手を握り締めていた。


佐伯さんに手を包み込まれて初めて気が付いた。


「血が出ます。やめてください」


「あ、ごめん」


笑ってごまかすことしかできなかった。





――――――――奇想天外






< 185 / 509 >

この作品をシェア

pagetop