失恋少女とヤンキーと時々お馬鹿
思い出



「行きたいとこ?」


大雅がめんどくさそうに言う……っていうかいつもか。


「そう、行きたいとこ!」


いきなり亜美の目が輝いた。


それを見て一同嫌な予感。






「みんなでケーキ屋に行きましょう!」


「よっしゃっ!」


亜美の言葉に元気よく返事をしたのは陽だけ。


あんたシュークリーム売ってればどこでも好きだもんね。


そしてそれに続くのは――


「誰の奢り?」


楽しそうな大翔の声と、


「強制?」


ダルそうな大雅の声と、


「頼むから騒ぐなよ」


心配する優真君の声と、


「亜美がいくなら行く!」


嬉しそうな颯太の声と、


「早くしろ」


催促する陽の声。


「割り勘だし、強制だし、騒がないし、あたしももちろん行くよ」


だって、最後の思い出を作りに行くんだから。




「はいはい、さっさと行くよ!」


「はいはい……」


最後まで重い腰をあげようとしなかった大雅が大翔に無理矢理立たされてようやく行く気になったようだ。


「いまからみんなでケーキ屋さんに行きます」


「知ってる」


この雰囲気、アウェイです。
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