プリズム


「聞きたくないよー」


机に顔を預けてわざとらしく伏せる。その状態のあたしを見てか、また柔らかい声が耳元で響く。


「なんか奢ってやろうかなー」

「マジでか!」

「なんだその反射神経。やるか?」


フッ、と大人っぽく笑う流星に胸が少しだけキュンとした…のは気のせいだ。頬杖がそう見せるだけだ。


「やります!!」

「ゲンキンな奴」


ポンと頭を軽く叩かれた。彼の手は少しも人並みより冷たかった。


「………」

(流星が頭ポンポンしてもわざとらしくないんだよね)


「そこがタチ悪い」と小さく呟いた。


< 51 / 122 >

この作品をシェア

pagetop