プリズム
<2>
動悸の加速は初期症状
「っしゃ!部活!」
運悪く、一番前の教卓のド真ん前になった不幸人間のリョウがチャイムが鳴るなり叫んだ。
「うるさい、リョウ」
すかさず突っ込みを入れるけど、頬が緩みっぱなしの杏。
(同じクラス…良かったね)
心の中、ポツリと呟いた。
「杏、写真部?」
「そっ、じゃね、莉桜と渡くん整理頑張って」
「じゃな、お二人さん」
クソ…他人事だと思って。鞄とリュックを背負ってニコニコしながら教室を去る杏とリョウ。