チョコとトマト標識

+生徒会室にて。

+++


「うーん」

「陽」

「うーむむむ…」

「陽ったら」

「…うぬぬぬ…」


霧が掛かったように見えなくなった記憶をたどる中、思いっきり両頬をつねられて私は「ギャッ!」と奇声をあげた。


「いででで…!! そう、頬を触られたところまでは覚えてるんだけどなぁ…いで」

「は?誰に?」


頬までは覚えてるんだけどな。
でもあれが本当に現実だったのかなとか、本当は夢なんじゃないかな、なんて思考が邪魔する。


「てゆうか、アレ…? なんで私生徒会室居たんだっけ」


私が頬をつねられたままアホ声を上げると、目の前で昔の鬼見たく恐ろしいオーラを放っていたマコがあっさりと両頬から手を放した。


「そりゃあアレでしょ? ヤスに何か頼まれてたんじゃないの?」

「安重に? え? そうだっけ? じゃあ何で私寝てたんだっけ」

「はあ? 生徒会室で何寝てんのよ」


マコはもはや呆れて溜息を吐いてから、パタパタと歩き出す。


「マコ、どこ行くの?」

私が読めないマコを呼び止めようとすると、クラスの隅で会議してる男子の中に堂々と入っていった。

そして中心でギャーギャーやってる一人の男子を片手で持ち上げ、挙句の果てには引きずって連れてきた。

ちなみにアイツが安重だ。
クラスの男子内中心的人物だけど、声がでかくてうるさい。


「なんだよ痛てぇなぁ!」


ギャギャーうるさい安重もアホ重だけど、

「うるさい」と一言ドメスティックなバイオレンスを振るうマコもマコだ。


さっき抓られたところがヒリヒリと痛む。

アレは相当痛い。

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