純愛爆走族
「ちぇっ

あんなにスピード上げちゃってさ、
矢口さんには早すぎてかなわねーよ。」


遠くなる矢口の背中を見つめて
健太郎がぼやいた


「矢口さんのドライビングテクニックは
神がかりだからな。」


憧れを含んだ慎平の言葉に
広樹が頷く


「バイクも人一倍好きだし…
なにより
あの人は…面白いよな。」


「だから
俺たちは付いていこうって
決めたんですよね?」


恭介が
加速するのに合わせて
他の三人もエンジンを鳴らす


「尼寺が入ってきて
ますます、あの人は面白くなりました。

これからも目が離せませんね。」


そんなメンバーの会話をよそに
矢口は尼寺を乗せて
さらに加速していった


「今日から私も爆走族であります!」

「しつけ―ぞ!
お前は銀狼にもどこのレディースにも
いれねーよ。」


「どうしてですかぁ!?」


「いいから黙って
俺の後ろに乗っかってろ。」



大海原を横目に
五台のバイクが颯爽と走り抜ける


最速最強のチームに
突然やってきた
不思議な少女…


彼らの物語は

まだ始まったばかりである




おしまい
< 56 / 57 >

この作品をシェア

pagetop