甘い君の唇にキス~恋の秘密は会議室で~


その日の夜、孝太は迷わずあたしの部屋に来た。


「今度、部屋着持ってきます」

「うん」

「それから、犬飼うの止めませんか?」

「えっ?どうして?」

「昼間誰も居ない部屋で留守番させるのは可哀想だと思って。それに、カナはもう寂しくないでしょ?俺が居るんだから」

孝太が何にも負けないキラキラした瞳であたしを見詰めた。


「そうだね」

あたしは一番欲しいものを手に入れた。

それに、ペットを可愛がったら、孝太がヤキモチを妬きそうだし。


「え?何で笑ってんの?」

「秘密」

「なんだよ、それ」

孝太が拗ねたように唇を尖らせる。

ほら、その顔可愛い!なんて言ったら怒るよね。だから、秘密。


「カナ、お仕置きだよ」

「何で?」

孝太は悪戯な笑みを浮かべて、あたしにキスをした。


孝太の唇はいつも甘い。

だから、あたしは甘いキスを繰り返す。



『甘い君の唇にキス』


【END】


< 125 / 134 >

この作品をシェア

pagetop