甘い君の唇にキス~恋の秘密は会議室で~
すかさず10Fのボタンを押す浩二に心臓が嫌な音を立てる。
確か10Fは空きテナントになっているハズ。
……何のつもり?
こんな時に限って誰もエレベーターに乗り込まず、二人きりのまま7Fに着いた。
到着を知らせる金属音が響くと、一秒でも早く逃げ出すために、あたしは中央へと体を寄せる。
そのまま、エレベーターを降りようと足を踏み出した瞬間、浩二はあたしの手首を思い切り後ろに引っ張った。
「きゃっ」
バランスを崩して、後ろに倒れこむあたしを抱き留めると、浩二は「少し話がしたい」と言った。