銀の蒼空
 
 
 
俺はひとしきり不満を漏らすと、舌打ちしてから再び飛び起きたベッドの上に倒れ込むと仰向けになる。
昨夜のことを思い起こすと、思わず悪態をついてみたくもなるってもんだ。
誰もやりたがらない夜通しの『任務』を俺に押し付けやがった、鬼畜な上司の顔が目に浮かぶ。
 
 
ロゼはそんな俺を見て、クスクスと悪戯っ子のように笑う。
 
 
「随分お疲れのご様子ですが、"ハイリターンな仕事を回してくれ"とおっしゃったのは貴方様ですわ、霜緋様」
 
 
「ちぇっ。ロゼは"菜乃葉"の味方かよー。確かに、ハイリターンな仕事を回してくれとは言ったけどさ、ハイリスクな仕事を回して欲しいなんて一言も言ってないっての!」
 
 
おかげさまで朝日を見るのがすっげぇ辛いんだぜ?もっと暇そうな奴らなんざ腐るほどいやがるんだ。そいつらに仕事を回せば俺的には嬉しい限りだね。
 
 
そうは言ったものの、俺にとっては不満よりメリットの方が多いのも事実だ。
まばゆいばかりの陽の光は大嫌いだし、同僚と顔を合わせることも、会話することも煩わしいだけ。むしろ俺は安息を求めている。ひっそりと、それこそ誰にも気付かれないように、目立たず平凡な毎日を求めているんだ。
 
 
 
だから、そういう意味では『任務』に託つけて日中は自室に閉じこもって居られるなんて恩恵を受けられるだけで有り難いことこの上ないんだけどな。
そして難易度の高い任務を幾度となく熟している俺は、『完全実力主義』というお偉方が掲げるモットーを忠実に守っている非常に優秀な部下なわけで。
 
 
それ故に、日常生活における素行について俺に直接文句を付けるお偉方はいないに等しい。勿論、ロゼとあの女――もとい総司令官である菜乃葉以外だけれど。
 
 
 
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